シェヘラザード、静かにお休み


アイスキャンディーを母親に強請る子供のように腰を落としてシーラはそこへ留まろうとした。

「傷が出来てるだろ。痕が残ったらどうするんだ」

「こんな浅い傷、すぐ治るに決まってるでしょう」

バルコニーの窓が開いた。シーラの腕を引っ張り合っている二人を見て、マリアが口を開く。

「何されてるんです?」






「あの人たちはまだまだ現役で働くつもりだ……」

「でも心配されていたでしょう。王都のことは何と?」

「王女の行方とレオナルド殿下による、と。この前ここで話したことと同じ意見だ」

夕食前の食卓テーブルに座って、テレビを見ているのはルイス一人だった。