シェヘラザード、静かにお休み


午後、畑に簡単に育つ野菜の種を蒔きながら、広大な森林の方をシーラは見上げた。

今まで驚くべきものを目にしてきたが、その中で一番だ。こうして権力というものを目にするのは。

確かに王族の人間にも権力はあったのかもしれないが、それはシーラが物心ついた頃にはもう国民から支持されないものと化していた。

それに、きっと昼のマリアの言い方だと地主ということは他にも土地を持っているに違いない。

友達の輪がカレッジに入って広がったって?
その前から広かったに決まっている。誰だってルイスを敵には回したくないはずだ。