そうですねえ、とマリアも窓際の椅子に座って紅茶を飲んでいる。
「物静かな子でしたね。昔から要領が良くて」
「沈黙は金、雄弁は銀っていうものね」
使うべきところが合っているのかどうかは兎も角、マリアにはシーラが言いたいことがは伝わった。
「でもカレッジに通ったらご友人の輪が広がって、あまり家に帰ってこなくなって、お母様が怒って」
マリアが肩を竦める。それを見て、シーラは先を予想した。
「このまま家業を継がせる前に、色んな職を体験しなさいと家を出されたわけです」
好き好んで城へ勤めに行かせる親は、このご時世では珍しい。



