シェヘラザード、静かにお休み


分厚い本を広げて、月明りの下で読んでいると、遠くからまた狼の鳴き声が聞こえた。

窓の外を見る。

仲間が見つからないのかもしれない。

自分が探しに行こうか、と窓を開けたところで、階下に耕した庭が見えた。

それから、静かに窓を閉めた。毛布に顔を埋める。

寂しいのはシーラも同じだ。





「ルイスって幼い頃、どんなだったの?」

午前中に花壇の整備を終えて、バルコニーでサンドイッチを頬張ったシーラが尋ねた。