結局、こうして交換条件を提示させられる側になる。
「その子は結局死んだの」
「……は?」
「貧しい街の人間がそのとき裕福な家を襲う事件が続いていた。その中のひとつになっちゃった」
シーラは少しずつパンを口に運ぶ。
ルイスはそれを聞いていた。
「昔はそういうことをする人間たちのことを賊って言ったらしいけど」
「お前は、その襲った方の人間を恨むことは無かったのか?」
質問に、シーラは顔を上げる。それから皿を出した。
「恨むより先に殺されたの。復讐を考える人間なんてごまんといるからね」
死んだ人間は恨めない。



