シェヘラザード、静かにお休み







コンコン、と扉が叩く音。それを叩く人間はただ一人しかいない。

扉を開けると、毛布を持っているシーラの姿。

「正気か……」

「眠れない」

「夕方あれだけ眠れば、それは眠れないだろうな」

「何か話をして」

そう来るとは思っていた。それを考えてルイスも少し起きていたくらいだ。

檻を挟んでも挟まなくても、これは変わらないのか。

「お前って、自分が女だって知ってるのか?」