ぱちん、と手を叩いてマリアが言う。時計は夜十時を示していた。 「はい、今日もありがとうございました」 「ではお暇いたします。明日も八時に来ます。ルイスさん、シーラさん、おやすみなさい」 ぺこ、とお辞儀をするマリアにシーラも頭を下げる。 「おやすみなさい」 エプロンを外して部屋を出て行くマリアの後姿を見送って、シーラはテーブルに身を乗り出した。 「マリアさん、ここに住んでないの?」 「ああ、もう少し東に進んだところに家がある」 へえ、と何度か頷くのを見て、ルイスはラジオを消した。