シェヘラザード、静かにお休み


二人の会話をマリアは黙って聞いていた。

ルイスが幼い頃からずっとハウスキーパーをやってきた。
ずっと一緒にいたわけではないが、学生時代のルイスの恋人の一人や二人を見たことだってあった。

シーラは随分と彼女たちとは感じが違う。

「侵入者の特定は?」

「さあ、その情報は全く出てこないわ。もしかしたらこの放送局もそっち側の人間なのかもしれない」

「買収か?」

「か、同志か」

夕方に起き上がったシーラは静かに階段を降りてリビングの方を窺っていた。

それに気付いたマリアに対して強張った顔して、ルイスの後ろに隠れるように食卓テーブルについたのだった。