あれは6年前のことだった。







***






「しゅう、今日のタイムベストでしょ?」







「そう!やっと出た!」









「だよねぇ!おめでとう!!」







「おう!





そういうお前は?どうだったの?」










「ベスト出たよ!」







「うっわ、さすがじゃん!





頑張ってたもんな!」








「うん!」










晴れ渡った空の下。








いつもより私たちはテンションをあげていた。








スキップするような軽い足取りで。







だから、注意力も散漫だった。









ーーーキキーッ









「っわ」



強い衝撃ときた痛み。






でも意識はあって。







「っしゅう!」








あたしの左手はしゅうの右手と繋がれていた。








でも、






離れそう...






お願い、無事でいて...









「っさきこ、!」






「しゅうっ!」







あ、






手が、離れた。







「しゅう、大丈夫っ?」







「俺、は!」








「俺は...?」









「俺はっ大丈夫、さきこ、は...」







「あたしも大丈夫だよ!





誰が、大丈夫じゃないのっ?」







「今っ、咄嗟に守ってくれた人がっ...」






「守ってくれた人...?」







「俺の上に被さってて...



ち、血が、いっぱい、出てる...」







「ひっ...!」









でもこの状態じゃあなにもできない。






しゅうのことも見れない。










そしていつしか、私の意識は薄れていった。