「改めて、二人ともおつかれさま。今日はもう夜の回診だけだから、ベッドで安静にしていてね。何かあったらナースコールすること。晴ちゃん、いい?」

「え、うん…。」

「瞳ちゃんもね。」

「…はい。」

「どうして二人ともそんなに曖昧な返事なのー。」


もうっ、と遠藤先生が頬を膨らます。

そんなこと言われたってよくわかんないけど。というかそもそも私、病院って大の苦手だし。
そんな私がよく今日1日乗り切ったよねって切実に思う。


「とにかく、何かあったらナースコール!これ絶対だからねー!それじゃあ安静にしてるんだよー。」


そう言って遠藤先生は部屋から出ていった。


「疲れた…。」

「そりゃそうだよ…。
それにしてもこんなに病院苦手な瞳がここまで頑張れるなんて。」

「私もそれ思ったー。」

「なんでだろうね?」

「よくわかんないけど、遠藤先生と白井さんだからかな…?」

「あー、なんか分かるかも。」

「いやなはずなんだけどなー。先生たちって魔法使いだったりして。」

「本当によく観察してるよ、琴美先生も白井さんも。
…私、眠くなってきた。ご飯の時間まで寝ようかな。」

「うん、そうしよ。私も眠たいや…。」

「おやすみ、瞳。」

「おやすみ。」


程なくして晴の寝息が聞こえてきた。

本当に疲れたもんね。今日1日は色んなことがありすぎて…。

朝は普通に学校に登校したと思ったら病院に連れてこられてるし、私も初めての発作を経験したし。検査もして吸入もして…。


あれ、検査?
そういえば私、心電図の検査まだしてないよね…?
確かしなきゃいけなかったよね…。

いつしにいくのかなぁ…。
嫌だな…。


ぼんやりと今日1日のことを思い出している間に私の意識もうっすらと途切れていった。