「ここだ」


ここだと言われてシェリルは辺りを見渡した。


何もわからない……。


どこから来たのかもまったく……。


見覚えのない場所だった。


そもそも倒れた時の記憶もない。


シェリルは悲しくなり、涙を堪えるため瞼をぎゅっと閉じた。


「もういいか?」


「……はい……ありがとうございました」


シェリルはやっとのことで声をしぼり出す。


シェリルの落胆する気持ちが手に取るようにわかるレオンは黙ったまま、ふたりを待つ馬車へと向かった。