ティナはエミリオにもう大丈夫だと言われ肩に入っていた力を抜いた。


この人もヴァンパイアなのに、今のティナは安堵の気持ちが強かった。


その時、男の断末魔が聞こえてティナが声の方を見た時には男の姿は無かった。


レオンがエミリオとティナの元にゆっくりと近づいてきた。


いつの間にか傍にいたダーモッドは立っていたが、足が震えているらしく、小刻みに体が動いていた。


「ダーモッドっ、ごめんなさい、大丈夫だった……?ケガはしていない?」


あたしはダーモッドを巻き込んでしまった……。


「ティナ、なぜ逃げ出した?」


レオンの紅い瞳に射すくめられ、ティナは言葉が出なかった。


まるで金縛りにでもあったかのように体が動かない。