首筋を啜り、鎖骨に歯を立て、届く範囲全てを蹂躙したアーサーの唇は、エミリアがキスをねだると、必ずすぐに戻ってくれた。

 いつも傍にいるのだと。エミリアの夫は自分なのだと。いつでもエミリアの愛を求めているのだと証明し、その愛を誓うように、何度でも。

 やがてエミリアが達すると、アーサーは穏やかで、しかし執拗なキスを贈り、ゆっくりと妻の上から離れた。

 エミリアの中に入っていた指を引き抜くと、その衝撃に体を震わせた妻を見下ろした。蜜をまとった指先を、じっとりと口に含む。

 エミリアは、その光景に驚きながらも、目が離せなかった。


 ──……大丈夫。驚いたけれど、昨日の朝ほどじゃないわ。


 部屋にノックが響く。

 どうやら、それは何度目かの呼び出しのようで、控えめながらもガンとして引かない家令の意思を感じた。

 アーサーは、まくっていたシャツの袖を元に戻す。カフスは、エミリアが手伝った。