「そっか、別にせかすわけじゃねぇんだけど…
あいつと莉奈が話つけねぇとなんか、莉奈があいつに取られそうで不安。」
「嵯峨くん?」
私を後から抱きしめ、顔を肩に埋める。
そんな嵯峨くんの声は不安げで少し震えてる。
「悪ぃ。今俺情ねぇし最低だよな?」
悔しそうな声の次は自分に苛立ってるような声。
「さ、嵯峨くん?私晶の所なんて行ったりしないから。ね?」
「ごめんもうちょっとだけこのままで居させて。」
私が嵯峨くんの腕の中から抜け出そうとするとギュッとさっきよりも強い力で抱きしめられる。
「どうしたの。いつもの嵯峨くんらしくないよ?」
「ごめ………
なんか、今日の俺おかしい。
普段より莉奈とあいつの事気にしてる。」
「何で?」
「俺は小さい頃お前とあいつが遊んでんの見てただけで、莉奈とあいつには俺の知らねぇ思い出だっていっぱいあって。
そんなあいつから俺なんかが莉奈を奪うことでないんじゃねぇかって…
最近こんな事ばっかり考えてんだ。」
嵯峨くんの声は今にも消えそうで震えてる。
「な、泣いてる?」
「みんなバカ。んなとこ好きな女に見られてたまるかよ。」
ぐっとさっきよりも強く私の肩に顔を埋める。
私が晶とちゃんと話つけてないせいで嵯峨くんがこんなに不安になってたなんて知らなかった。

