昨日のドキッとしたのは何だったんだろ。

今は何ともないけど…


教室の窓から外に居る嵯峨くんを見つめながら思う。


「莉奈、聞いてる?」


晶の声ではっと我に返る。

晶とは私の幼馴染の篠原晶。

嵯峨くんなんかとは真逆のサラッとした黒髪に少したれた目、整った顔立ち、スラッと高い背。

女の私なんかよりずーっと女の子らしい顔したれっきとした男の子。


「ごめんボーッとしてた。でなんだっけ、」

「…なんか莉奈最近考え込む事増えたね。」

「そうかな〜?」

「もしかして嵯峨晴人のせい?」

「…………え?………」


晶の口からそんな人の名前が出てくるなんて思ってもなかった。