「はい、ゴール!
残念ながらビリですね、

お題の確認をします、えーと、


えっ、うわっ、なんと、

【好きな人】!!


お題は、【好きな人】です!!!!!!!」


体育祭委員の担当がマイク越しに
声を張り上げて、
次の瞬間、
グラウンドから耳をつんざくような
女子の悲鳴のような叫び声があがった。


・・・うそ、でしょ。


なにそれ、うそ。

恥ずかしすぎる・・・!!!


「ごめん、戻る!!!」


あたしは急いで逃げ出した。


ねえ、なんでそんなことするの?
こんな、全校生徒の前で・・・!!!
やめて、よ。


あたし、かわいくもなんともないし、地味な方だし、
ほんとに、こういうので目立つの嫌。


中島くんは、けっこうカッコいい方だと思う。


あとで何か絶対、女子に言われそう。


もう最悪!!!


それも、1回つきあって、別れたのに。


あたしは本当に悪いことしたけど、
でも、
さすがに、
こんなことしなくてもいいじゃん。


あたしが、こういうことされて喜ぶ人だと思った?
お題は、選べるのに。

どうしてわざわざこれを選んだの?

こういうことすれば、
成り行きでまた付き合えると思った?



やめて、やめて。

走りながら、みんなの視線があたしに集まっているのがわかる。
グラウンドはまだ、大騒ぎで。



おねがい、見ないで。見ないで。見ないで。

はやく、次のグループ始めて!!!

やだ、やだっ!!!