. . .



「あんた。分かってんの?叶人(かなと)君は優しいだけで1ミリもあんたのこと好きって思ってねーんだよ、ブース」


次々と先輩から悪口を言われる。


この先輩達は叶人(かなと)先輩のファン。


私はバスケが大の得意で、先輩からバスケ部にスカウトされた。


この先輩達はそのことをひがんでいるのだ。


私は深くため息をついて、


「私は先輩の事好きでもないし、まず男の人と一緒にいること自体私、無理なんで。という訳で幼稚園に弟待たせているので失礼します」


言い終わると先輩達はポカーンとした顔で私を見ていた。

私は気にせず時計を見ると


「やばっもう6時だ!」


幼稚園の時間は6時30分まで。幼稚園はここから少し遠いところで20分程かかる。

私はさっきの事なんかとっくに忘れて走っていた。





「りく~!帰るよ!」


「はーい、お姉ちゃん!」


弟の陸斗(りくと)6歳。来年やっと1年生。


ちなみに私は宇野 美空(うの みそら)中学1年生。


「お姉ちゃん!今日の晩ご飯ハンバーグがいい!」


「それはスーパーへ行ってから。ほら、先生にさようならは?」


りくはくるりと先生の方を向いて


「先生さようなら」


私もぺこりと頭を下げて


「ありがとうございました」


「いいえ。陸斗君はいい子ですから。でも美空ちゃんも大変ね~。1人で家の家事をするなんて...」


私はぎゅっと拳を握る。