「有紀、ちょっと」

トイレから出たところで亜矢にこっそりと手招きされた。

「何?」

「あんた、宮沢君とはどうなのよ」

「何もないけど」

「あのね、よく聞きなさいよ。宮沢君は有紀のこと好きよ。紗知も気づいてる」

「はあ?」

宮沢君が私のこと好き?!
私はどちらかというと嫌いだけど。

「だから、紗知のために頑張ってよ」

「分かった」

衝撃の事実を聞かされたが、私は紗知を応援すると言ったのだ。
ここは友達のため、一肌脱ごうじゃないか。


「水沢、宮沢、二人でこのプリント職員室に持って行っとけ」

放課後のHR。早くもチャンスがきた。

「ごめん、私用事があるから」

私は宮沢君に断りをいれて、紗知の方へ向かう。

「紗知、一緒に行ってもらってもいい?」

「え、う、うん」

紗知はコクコクとうなずいて席を立った。

私は帰る支度をして二人とは少し時間をあけて教室から出た。

「まだ、寝たり無いけど……」

一つあくびをして、廊下を歩く。

向かう先は生徒会室。

その前の階段で宮沢君と紗知を下で見つけた。

急いで隠れて様子を見る。

宮沢君と紗知は三言ほど話してから紗知がどこかに行った。

「どうなんだろ……?」

二人がどうなったのか分からない。