「ねぇ、桃子。整形って、どう思う?」


結局、私は決断することができなかった。


あれだけ綺麗になりたい‼︎と豪語していても、いざ顔を変えるとなると尻込みしてしまう。


慣れ親しんだ、私の顔。


そして周りの反応が気になる。


桃子は眉間に皺を寄せると、逆に聞き返してきた。


「渚、もしかして整形したいの?」


「したいというか、綺麗になりたいとは思う」


「顔を変えて?」


「それで綺麗になれるなら私は__」


「私は嫌だな」


「えっ?」


「それは【偽り】だと思う。それで生まれる幸せも、私は【偽り】だと思う」


桃子の言葉が、胸に突き刺さる。


それじゃ、私が寿命と交換で痩せたのも【偽り】なんだ。


なぜか責め立てられているように感じ、反対に腹が立った。


気づけば私は、言っちゃいけないことを言ったんだ。


「じゃ、じゃあ桃子は、一生その顔で生きていくの?誰からも相手にされないその顔で」


【その顔】が、悲しみに歪んだ。


謝らないと。


すぐに謝らないと‼︎


そうは思うけれど、言葉が喉に詰まって出てこない。


桃子が黙って席を立つ。


追うこともできずに、私はその背を見送った。