デートの最中でも、メールやLINEをやっている。


彼女である私が、目の前にいるというのに。


どこかに出かければ「裕也じゃん‼︎」と、誰かれ声を掛けられた。


ほとんどが同世代か、たまに大人の女性まで三鷹くんと知り合いのようで。


「どんな知り合いなの?」とは、聞きたくない。


それでなくても、前カノは優衣で、その前カノは朋美なんだ。


女性遍歴は、私の想像を遥かに超えているだろう。


中には、私が隣に居ても平気で絡みついてくる女もいる。


そういう時は、もしかしたら肌を合わせたことがあるんじゃないか⁉︎と勘ぐってしまう。


「渚は、俺のことが信用できない?」


憂いを帯びた瞳で見つめられると、それだけで霧が晴れていく思いがしたが、それは長くは続かない。


いつも何かを疑い、探り、悪いほうに決めつけてしまう。


楽しいはずの三鷹くんとの交際、待ちに待った手に入れた隣の席、いろんなものを傷つけて勝ち得た居場所が、たまに疲れる時がある。


かといって、誰にも相談できない。


今は朋美と優衣とも、距離を置いているからだ。


こんな時、気の許せる友達でもいれば__。


「葉月さん、なんか元気ないね?」