でも、上手く接していたら
あのような事件にはならなかったと思う。

そう思うと何だか
余計に切ない気持ちになった。

「副社長……お母さんのところに
今は、居るのかな?」

「そうね……きっと
たくさん甘えさせてもらっているわよ。
甘えん坊さんだったから」

「フフッ……そうだね」

そうだといいな。

「萌。そろそろ行くぞ?
式場の打ち合わせがあるのだろ」

ハッとする。
うっかり副社長のお墓の前で
物思いに耽ていた。

「あ、すみません。
すぐに行きます。」

あれから数ヶ月後。

私達は、副社長の思惑通りに
結婚することになった。

ううん。ずっとそばに居ると約束した。
だから副社長もきっと祝福してくれるだろう。


END。