「どうして、こんな事をするんですか?
あなたは、社長の第一秘書でしょ!?」

私の知っている市原さんは、
秘書として優秀で社長や副社長の良き理解者でも
あったはずなのに。

すると大笑いをされる。

「まったくおめでたい頭だな。
その騙されやすい単純さは、響夜社長といい勝負だ。
俺は、最初からスパイとして
香月財閥に潜り込んでいたんだ!」

そう言ってきた。 

最初からスパイとして……!?

「も、目的は、なんですか?」

「香月財閥の新製品のデータの横流し。
それをあるライバル会社などに高く売り付ける。
しかしその計画は、早々と見つかってしまった。
朔夜副社長に……」

副社長に…。

クスッと笑う市原さん。

「しかしあの人は、俺を捕まえようとしなかった。
いや、むしろ俺に取り引きを持ちかけてきた。
データの横流しに協力をしてやるから
俺を楽しませろと……」

「可笑しい話だろ?自分の会社なのに。
だがあの人は、そんなの関係なかった。
会社より自分の快楽の方を優先しやがったんだ。
それから俺は、第一秘書として響夜社長の下で
働くことになった。
一見は、社長の忠誠を誓う真面目な秘書だが
裏では、周りの連中を利用して
新製品を横流しをするスパイてして
指揮をとっていた」

私は、その言葉に唖然とする。