社長の話は、別れ話ではなかった。
それどころか私が避けているのを
気にしてプレゼントまで用意してくれた。

嬉しさと罪悪感で涙が溢れてくる。
こんな素敵な物を貰う資格なんてないのに。

「おい、何で泣くんだよ!?
もしかして気に入らなかったのか?」

オロオロする社長。

「あの……違います。
嬉しくて……すみません」

涙を必死に拭きながら弁解した。

すると社長は、クスッと笑う。

「ちょっと、貸してみろ。付けてやる」

そう言うと立ち上がり私に近づいてくる。

「えっ……?でも、申し訳ありませんし……」

「いいから。貸せ」

強引に取ると私の首につけてくれた。
心臓がドキドキと高鳴っている。

付けてもらうと社長が手鏡を貸してくれた。
キラリと上品めの宝石がとても素敵だ。

「素敵……ありがとうございます。
でも、いいんですか?こんな高価な物を」