ずっと気になっていた。

あんなにも他人の料理や飲み物を拒絶するのは、
不思議で仕方がない。

神経質だと言っていたけど……倒れるまで
食べないなんて普通の神経だと有りえないからだ。

「気になります。
黒王先生は、何か知っているんですか?」

知っているなら教えてほしい。

少しでも分かれば
このモヤモヤも理解が出来るかもしれない。

「悪いけど付き合いの長い俺でもよく分からない。
小学からと言ってもアイツらは、
転校生で、転校した時には、あんな風だったし。
ただアイツは、最初から
他人の料理を食べられなかった訳ではない。
あるきっかけから、食べられなくなったらしい」

あるきっかけ……?
副社長の身に一体何が遭ったのだろうか?

「そのきっかけって何ですか!?」

食べられなくなるぐらいだから
よほどのことがあったのだろう。

「俺は、事件が何か遭ったのではないかと思っている。
さっきみたいに自分は、良くても
他人を無闇に触られると恐怖で拒絶していた。
アイツのトラウマの原因の1つだ」

「それだけではない。響夜もそれを理解しているのか
朔夜を必要以上に過保護になっている。
学生の時もアイツの弁当は、全て響夜が作り
気にかけていた。
彼女が居てもそっちを疎かにするぐらいに」

ドックンと心臓が大きく高鳴る。