「ですが……そうしないと
私が副社長に怒られてしまいます。
私だと……何も権力がありません……」

下手に逆らったら
何をされるか分かったものではない。

借金に母の入院費。
それに……あのDVD。

私が言ったところで
脅されて終わりだ。

せめて社長がどうにかしてくれたら……。

すると社長は、大きなため息を吐いてきた。

「まったく……いくら上司命令でも
やりたくない時は、やりたくないと言っても
いいんだぞ。仕方がない。
俺が代わりに朔夜に言ってやる」

「お願いします……」

これなら、いくら副社長でも
諦めてくれるだろう。

仕事を終わらせて社長と一緒に
2人の自宅マンションに向かった。

「朔夜。お前……いくら何でもやり過ぎだぞ!?
萌は、女だぞ。
男女が一つ屋根の下に住まわせるなんて
危ないだろーが!!」

社長が文句を言ってくれた。
だが、副社長は

「お前が萌の生活を心配しているから
俺が提案したまでだ。それに
危ないって……お前や俺が何もしなかったから
何も起きないだろう。
まぁ……俺の場合は、保証は出来ないが」