だけど、今回だけは言わせて。
 ねえ、お兄ちゃん。わたし、こんな姿だけど言わせて欲しいの。



「ねえ、お兄ちゃん」



 椅子に立って、真新しいロープを首に巻き付けるお兄ちゃんをわたしは睨んだ。



「何をしてるの?」



 見事に固まってしまったお兄ちゃんは、わたしを見てはいるけれどかなり動揺している。



「驚くのは当然だし、信じられないのはわかるんだけど……」

「やべえ。首吊る前に死ぬって、俺すげえことやらかした!!」

「まだ死んでない!!」

「ということは、イカれたのか!」

「あの……お兄ちゃん……?」



 話を聞いてくれない。
 まあ、死んだはずの妹がいきなり部屋に現れたら、そうなるよね。


 わかるよ。わかるけど!!



「とりあえず話を聞こうか」

「お前、誰だ」

「妹の詩月です」