「お兄ちゃんさ、彼女いないの?」
「はっ!? いきなりなんだよ!!」
あ。お兄ちゃん、近くにいたお母さんたちに変な人に思われた。
変な目で見ては去っていく。不審者だと思われて、ショックを受けて項垂れてる。
さすがに恥ずかしくなってきたみたい。
「詩月、歩きながらでいいか?」
「うん」
お兄ちゃんはプレイゾーンを出て、ウォーキングの真似をしながら歩き出す。わたしも一歩後ろをついていく。
幽霊なのに普通に歩くって変な感じ。
「で? オレに彼女だって? いると思うか?」
持っているスマホもポケットから出す気配はない。夏休みなのに暇そう。それに、楽しそうじゃない。
つまり、そういうこと。
「いないんだ」
「軽く傷つくな」
「わたし、ね。告白されたことがあるの」
「は? 告白!?」



