「お兄ちゃん! ちょっとひどくない?」
「お前、幽霊なんだぞ」
「だから何よ?」
「ちょっとは考えろ! お前のせいで賑やかな公園が心霊スポットになるぞ」
ぼそぼそと、わたしにだけ聞こえるくらいの声で注意される。
確かに、思い出の場所が心霊スポットになるのは困る。
ざわついている辺りの様子に、わたしは素直に反省する。とりあえず、幽霊である自覚を持って行動しよう。
「ごめんなさい」
「で? 公園来たけど、砂場遊びがしたくて成仏出来ないわけじゃないだろ?」
「うん」
わたし、お兄ちゃんに嘘をついた。
お父さんと公園に来た思い出があるのは本当。でも、それだけが理由でここに来たわけじゃない。



