砂場で遊んだことなんて、本当になかった。
わたしには良くないって、自由に遊ばせてもらえなかったから。
この砂の感触がとても嬉しい。
サラサラしてる砂。
細かい石が時々、皮膚を刺激する。しっとりしていたり、太陽のせいで熱くなっている。
それだけで満足。
イタズラなんて、本当はどうでもよかったんだ。
楽しい。
そう思っていたら、頭に重い衝撃。続いてわたしを横切る長い足。
「痛いし」
遠くから睨まれてしまったから、わたしは仕方なく砂場を離れる。
楽しかったんだから仕方ないじゃない。
砂場で遊ばなかったことで、成仏出来なかったらどうするつもりよ。
ベンチに座ったお兄ちゃんの横に座り、頬をふくらませてみせる。



