「詩貴、学校はどう? 夏休みの宿題は?」

「ぼちぼちってとこかな」



 こう見てるとみんな食欲はあるし、普通に会話をしてるし、時々笑ってる。
 わたしがいたって事実がみんなを苦しめてるんじゃないかって思っていたけど、そうでもないみたい。


 まあ、お兄ちゃんは違うかな。
 わたしの目の前で自殺なんて、絶対に許さないんだから!



「詩貴。夏休みなのにどこにも行けなくてごめんなさいね」

「母さん。言わなくても詩貴はわかってるよ」



 それまで黙々とご飯を食べていたお父さんが口を挟む。



「どういうこと?」



 聞こえないってわかっているけど、わたしは話が見えてこなくて呟いていた。
 それに答えてくれることはなくて、お兄ちゃんが口を開く。



「わかってるよ。だけど、お願いがあるんだ」

「お願い?」



 お兄ちゃん、いつの間にか夕飯食べ終わっていた。せっかくの美味しいご飯を飲み込むように食べちゃった。