わたしは涙を拭いて仏壇のある和室を出る。すると……。
「よっ」
お兄ちゃんが、今まさに帰ってきたところだった。
「お兄ちゃん」
ちゃんとわたしの目を見て話している。
信じてくれたのかな。
わたしがここにいること、わかってくれてるんだよね?
お兄ちゃんが困ったように笑っていた。
その笑顔は、いつも見ていた詩貴お兄ちゃんそのもの。
嬉しいんだか、悲しいんだかわからなくなって。でも、やっぱり嬉しいんだって思った。
わたしは自然とお兄ちゃんを抱きしめていた。
不思議。お兄ちゃんにはちゃんと触れる。温かいお兄ちゃんが感じられる。
すごく嬉しい。
「お兄ちゃ――――」
そして驚いた。お兄ちゃん、顔が真っ青。
え。わたし? わたしのせいなの!?



