「この子は…何を食べるのかしら?」


本気?

これは…本気な目だ…


「肉だ!猪の肉を食べさせよう!」

「五郎さん…歯がないのです
この子は噛めないわ」

「そうか!最初は、粥だな!」

「さすが五郎さん!」


「おい…ここに女はいないのか?」

「私だけです」


まいった…
私のお節介の虫が騒いでる


山賊は、捨て子の集まりだそうで
何でも盗めばいいと思っている


驚いたのは、ゆきのが親に暴力をふるわれ山に逃げたところ
この熊五郎に出会い


一目惚れしたということ



てっきり可愛いゆきのをさらったものかと…




私は、山に残りゆきのと子育てをすることにした


土方さんには、出産し動けるようになってから文を出そうと思っていた


慌ただしく過ぎる日々と
山奥でなんの情報もないこと


私は…




土方さんのことを想うことがあっても

すっかり、市村君の事を忘れていた




「あっ!!!」




思い出したのは、出産し会津の壱のところから文を出し、土方さんと合流しようと旅に出る、朝だった