その後、彼女はあっという間に仕事を覚えた。

ほとんどミスはしないし、資料を頼めば、わかりやすくて見やすいものを作る。

顧客対応も完璧で顧客からの評判もいい。

ふと、俺の同期で総務課長の真島の言葉が頭に浮かんだ。

『総務課としては出したくなかったんだ。緒川は優秀だから』

『真島が他人を褒めるなんて珍しいな』

『だろう?俺は妻一筋だからなんとも思わないが、控え目美人っていうんだろうな』

『はぁ?』

『お似合いだと思うんだよな~、天野と。ああいう子ってなかなかいないだろう?大事にしてやれよ?』

『……』

俺は否定も肯定もせず、持っていたコーヒーをゴクゴクと飲み干した。

そんな俺を見て、真島は一瞬ニヤリと笑って直ぐに仕事中の顔に戻った。