『営業課長の天野です。よろしく…』

恥ずかしさでいっぱいになり、ボソッと呟くような挨拶になってしまったにもかかわらず、彼女はニコッと笑った。

彼女の笑顔はヤバい。

破壊力抜群だ。

初めて見た時から俺の心臓はドキドキと高鳴っている。

まさか、と自分自身驚いた。

いまだかつて、こんなふうになったことがない。

戸惑いながらも、淡々と業務について説明する俺の隣で、彼女は一生懸命メモをとっている。

表情は真剣で、態度は真面目だ。

一見すると堅く見られるのかもしれないが、俺にとって彼女の表情や態度は新鮮に感じられた。

浮わついたり、計算されたものではない。

俺の見た目と肩書きに近づいてくる人たちとは違う。