俯く私の頭を大きな手で撫でられ驚いて顔を上げると、超至近距離に課長の顔があった。
悲鳴が出そうになった口を咄嗟に手で押さえた。
さっきから何度も私の頭を撫でているのは課長なわけで…。
でも、なんで!?
どこを見ていいのかわからず、視線をさ迷わせていると、課長はフッと笑い、手も顔も離れていった。
「顔、真っ赤だな」
「なっ!?」
言われなくても、今ゆでダコみたいに顔が真っ赤になっていることくらい、自分自身がよくわかっている。
なんにせよ、こんな状況に慣れていないんだから仕方ない。
大学生の時に付き合った彼とはキス止まり。
すっかり恋愛とは縁遠い生活を送っている私にとって、まさしく今の状況がキャパオーバーだ。