そして私は諦めた。

君に手を伸ばすことすら

しなかった。

私はきっと伸ばしても、

放してしまう。どこまでも臆病で。

君は何も言わない私に

少し微笑んでから、

「ごめんね。」と呟く。


一瞬、泣き出してしまいそうになった。

泣かなかったのは

きっと、君も

泣きそうな顔をしていたからだと思う。


私はやっぱり何も言えなかった。





…そして私は一人になった。