皆の怒りを止められないと眺めていた矢先、ゲームで言えばラスボス級の御方がとうとう、こちらに顔を出してしまった。


誰って?


この会場で一番位の高い貴婦人。

王妃様その人である。


「ジュール、エリーザ。皆様楽しんでいただけてまして?」


そう声を掛けてきた王妃様、ここで一番笑ってるのに。
目が、本気です!!


笑顔で静かに怒りを表す人程、怖いものはありません。


私はまだまだ小物です…。


そう思ったの時


「ふふふ。ミジェスタ侯爵令嬢!さらにその近くに居た令嬢三名。明後日の私主催のお茶会にお招きしますわ。必ず、来るのですよ?」


その言葉は笑顔で言われているのに、感じるのは雪山レベルの冷気である。

誰が見てもわかる…。
明らかにお怒りであると…。

そして、王妃様はこう仰った。


「このドレス同じものを私仕様で作ってもらう予定でしたのよ?それを見るのを楽しみにしておりましたのに…。令嬢達には、今一度教育が必要ですわね?ねぇ?皆様?」


こうして、この会場で一番の貴婦人の怒りに誰もが首を縦に振り肯定の意を示すと言う、前代未聞の光景が広がる誰もが忘れられない夜会となったのだった。