王家主催のお茶会を目前に控えたころ、シュヴァイネル侯爵家の私へと、王太子様から贈り物が届けられた。
なんの前触れも無く、届けられたプレゼントに困惑を隠せない私に、お母様と今日は休みで家に居たお姉様が言った。
「貰ったからにはお礼状をお送りしなければなりません。そのためにもとりあえず、そのプレゼントを開けてみないとね?」
お母様が言う事はもっともなので、私はそのプレゼントの箱を開けた。
箱はそこまで大きくなかったが、開けた箱の中には月と蝶をモチーフにしたブローチが入っていた。
その色は私の瞳のエメラルドグリーンにゴールドだ。
箱の中身に私は一時停止した。
ギギギ、といかにも立て付け悪そうな動きで首を動かし、お姉様に恐る恐る尋ねてみる。
「お姉様、この緑の宝石みたいなのはガラスじゃなくてエメラルド?」
その私の問いに、ブローチをつまみあげて陽の光にかざして見たお姉様は、あっさりとそれを私の手に返しながら言った。
「ん、間違いなくエメラルド。宝石のね!」
「お高い?」
「このサイズなら。まぁ、そこそこ?」
お姉様はつつみ隠さず、サクッと教えてくれた。
「この、プレゼントはどう受け取るべき?」
思わず眉間に皺を寄せて呟く私に、お母様は朗らかに言った。
「お茶会にはぜひ、そのブローチを身に付けて参加してくださいって事よ」
その言葉を聞いて、私のため息は深くなった。



