お茶会一週間前には、現実逃避に作業に没頭してしまっていたおかげでドレスは無事に仕上がってしまった。
なんということでしょう…。
あぁ、差し迫るものにどう備えたらいいものか…。
全く検討もつかないのだけれど、仕方ない。
私は、今度はサクサクと次なる逃避にレース編みを始めた。
「あらあら、モネ様はまだ逃避してるのかい?」
そう聞いてきたのは、アガタさん。
「んー、だってあの美形王太子様。めちゃくちゃ王子様で。もう、対峙したらあまりにもだから逃げ出したくなるの…」
手の甲へのキスやら、甘い発言を思い返すだげで打撃を受けてしまう。
恐るべきキラキラ王子なのだ。
「モネ様は、どんな殿方がタイプなんです?」
そう聞いてきたのはマノンさん。
「んー。優しくて、落ち着いてる普通の人」
まぁ、この国には普通の容姿の方が居ないのだけれど…。
もう、いっそ一生服作りに没頭して暮らしたい。
立派な仕事をしている引きこもり願望である。
そんな、私を知ってか知らずか、お針子さん達は溜息をつきつつ言った。
「モネ様、このシュヴァイネル侯爵家は侯爵位の家柄ですからね?」
そのアガタさんの問に、ん?という顔をする私に、マノンさんが分かりやすく言い直した。
「モネ様は養女といえど、シュヴァイネル家の娘です。王家が王太子妃にと望まれればそれがすんなり通る家柄なんですよ」



