「イルバは固いわね?」

そうつぶやく妹に


「お前が自由奔放すぎるんだ。見た目を裏切るじゃじゃ馬姫」


そうニヤリと言ってやれば


「あら?そんなじゃじゃ馬でも嫁に貰う男は居るのよ?問題ないわ」


フンと鼻息荒く返した妹には、確かにフィアンセが居る。
ビアンカ皇国という隣国の皇太子に見初められて、来年の春には輿入れが決まっている。


「エリーザ様。お妃教育はいかがなさいましたか?」


侍従のウィーゴがお茶とお菓子をワゴンに乗せて応接ソファーの僕らの元に持ってきた。


「今日は午前中で終了したわ!今日はアメリアも来ていてそこで聞いたわ!噂のお針子令嬢とお兄様、お会いしたそうじゃないの!どうして教えてくれなかったの!?」


「そうやって騒ぐからだよ。僕はね、エリーザ。彼女がとても気に入いったんだ」


そう言った僕を見てエリーザは驚いた後、ため息をついて返事をした。


「お兄様、本気のお相手ですのね?それではますます私、お会いしなければ!アメリアはすっかり懐いておりますし、ヴィオラ様も今日いらしてて、プレゼントされたベビー服をお母様と見せていただいたけど。とっても素晴らしい出来栄えのお洋服でしたわ!私も彼女に服を作ってもらいたいわ!」


その発言には、僕は渋い顔をした。
妹が頼む事はすなわち、王族の命令に近い。
断ることは出来ない頼まれごとになる。