ため息混じりで返したシャノンさんに

「それはまた…。本人もお人形さんのように綺麗なのにね…」


何か残念感を漂わせる会話をしているので、夫婦の会話にサクッと言葉を返した。


「私自身はついでくらいで良いの。ここの国の人達は本当に綺麗な人が多いから、その美しさを十分に発揮出来る様な服を作るのが私の使命だもの!」


ニコッと返すと


「モネお姉ちゃんも綺麗だよ?だからお姉ちゃんも僕と一緒に綺麗なお洋服でパーティーに出てね!」

「はいぃ!!ゼアン君のお願いならばぁ!!」


この様子を見ていたシャノンさんとビアゴさんはクスクスと笑いながら見守ってくれた。
私を着飾らせるにはゼアン君の一言が有効と、シュヴァイネル家で知れ渡るのは言うまでもない。


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採寸を済ませるとまた、私はご飯と寝る以外をお針子部屋にお篭もり状態になりかけた。
なりかけで済んだのは、私がゼアン君の一言に弱いと周知されたおかげである。


トントン。
ドアをノックする可愛らしい音がお針子部屋に響く。


「モネお姉ちゃん!僕と一緒におやつを食べよう!」

「ゼアン君!!もちろん、おやつ一緒に食べましょう!!」


ここ数日ですっかり定着した、お茶休憩である。
ゼアン君の声掛けがないと下手するとお昼も抜いてしまうので、家人達はこぞってゼアン君に私を休憩させるようお願いしていたのを知るのはパーティー当日であった。