そうして互いの名前を教えあったあと、私はシャノンさんの栗毛の馬に同乗させてもらった。
馬って結構目線が高くなる。
おっかなびっくりシャノンさんにギューッとくっついて耐えることにした。
それを見ていたリュカさんは


「いいなぁ、美少女に抱きつかれるとか。姉さん、それ俺に譲ってよ」
「黙れ、ヘンタイ」


容赦なく一刀両断してくれたので、私は安心してシャノンさんにくっついてその服をぎゅっと掴んだ。
離さないの意思表示だ。


「ありゃりゃ、俺嫌われたかな?」
「お前の発言がチャラいからだろう?もう少し落ち着け?お前もいい歳なんだから」


姉弟の遠慮無いやり取りを聞きつつも、馬はしっかりと進んでおり、街の門が見えてきた。


王都と言うだけあり、門は大きく広い。
街道も立派に舗装されている。
文化的にそこそこ発達しているようだ。


「シャノン隊長にリュカ副隊長!お疲れ様です!」


門番の方々が今何か素敵な敬称を付けて、リュカさんやシャノンさんを呼ばなかっただろうか?
まだまだ、よく分からないが…。
私を保護してくれた姉弟は、騎士団でそこそこの地位に居るようだ…。


「隊長、そちらのお嬢さんは?」
「神秘の森で保護した。どうやら連れもおらず記憶も定かでなく、自分の名前しか分からず途方に暮れてたから連れてきた。団長に話してから我々シュヴァイネル侯爵家で保護する」


「かしこまりました!お名前だけ伺っても良いですか?」


優しそうな門番さんはシャノンさんと話したあと、私にそう声を掛けてくれた。


「モネです。お仕事お疲れ様です」