表向きはとても仲の良い家族。みんなが憧れるような、ステキな王女。そんな自分を

«演じてた»

妹が出来てから、この家はかわった。自分も、母様も。
「君は、みんなが憧れる存在なんだから、しっかりとした態度や礼儀をわきまえるんだよ。いつも笑ってるんだ。私たちとあわせるんだよ、いつも通りに。」
「はい...。」
こんなやりとりはいつからだろう。つらくて、苦しくて...。妹も父様も母様も大嫌い。王女なんてやめてしまいたい。そんな時はきまって行く『特別な場所』が私にはあった。母様も父様も妹も誰もしらない大切な場所。最近は、自分の部屋にいるのも息苦しくてたえられなかった。だから『特別な場所』に行くのが日課になった。今日も行こうとしたとき、妹にあった。
「こんにちは、姉様。」
妹はかわいくて、父様からも母様からも愛されている。明るくて、いい子で、周りから愛されていて...。だから私はこの子が大嫌いだった。
「何か用かしら?」
「お父さんとお母さんと姉様と一緒にお出かけしたいなって思って!」
「行かないわ、あなたとなんて。そんな用件なら2度と話しかけてこないで!」
自分が愛されている自信があるからと言って、私をみじめにさせるようなこと言わないでほしい。私は足速にその場から離れた。泣いている妹をおいて...。
1分でも1秒でもはやくつきたかった。『特別な場所』へ。『特別な場所』は城の近くにある森の中のはなれ、お父さんの書斎となっていた場所。ここはいつもおちついていて、静かで何よりお父さんがいつもそばにいるような気がした。