ホームルームが終わり、すぐに男のグループと女グループに別れた。


だけど僕は、自分の机に座ったまま予行演習の続きをしていた。


『ずっと前からあなたの事が…。』


『いつもあなたを見てた…。』



いや、こんなんじゃダメだ。


そう思いながら、ふと彼女を見ると彼女も机に座って物思いに耽っていた。


『チィ〜こっちに来て一緒に写真とろうよぉ〜。』

マチコさんが言った。


僕の告白のターゲットとなっている彼女は ミナモト チイコ みんなからチィと呼ばれている。


彼女はイスから立ち上がってマチコの方に向かって歩きだした。


僕は、待て!と心の中で叫びながら同じようにイスから立ち上がった。


『ちょっと待ってくれ!』と、とっさに言おうとした。


その瞬間『ユウサク!写真撮ろうぜ!』


ちょっと色黒のいかにもスポーツマンというようなイケメンのナオがその言葉を遮った。


ナオは同じ水泳部でずっと一緒にがんばってきた友人だ。


僕はその誘いに負けて男グループに入っていった。


その時の僕の顔は多分ぎこちない笑顔だっただろう。


後ろを振り返ると彼女はいなかった…。