一度部屋に戻って、顔を洗って。

一息ついてから、また宴会場に戻ると。
席はまばらだったけど、まだワイワイと
していた。

見ると、先輩もまだ飲んでいて。
仲良かった後輩と楽しそうに話していた。

今日は、もう話せないかな…と、
思いながら、少し離れて座ったら。

先輩と目があって、話していた後輩も
こっちを見た。

あたしが、ぽーっと一人で座っていたせいか
笑ってる。

そして、二人で、おいでおいでと、
手をヒラヒラさせて呼んでくれた。

え?いいのかな…と、ドキドキしながら
行くと、間に座らせてくれた。

先輩と話してた後輩は、新しいキャプテンで。
話しやすい人なので、あたしの緊張も
少し和らいで。

二人の話を間で聞いていたら、
その後輩が、突然言い出したのは。

俺、実はずっと前に学校から帰ろうと
思って歩いてたら、ちづるちゃんが
遠くに立ってて。
そしたら、車が来て、乗ったんすよね…。

あの車って…と、先輩を見て、言いにくそうに
している。

見られてたんだ!?
ど、どうするの??と、思いながら
先輩を見ると、赤い顔したまま、

あー…うん。俺だな。と、笑ってる。

ひぇ。認めちゃった…と、心配顔していたら。

キャプテンも、いい人で。
あたしを見て、そっかそっかと、ニコニコ
しながら、あたしの頭をなでようと
手を伸ばした。

すると、先輩は、その手をつかみ。
だめ。俺の。と、笑うもんだから…

あたしも、キャプテンも、顔が真っ赤に
なりながら顔を見合わせた。

す、すいません…。
だいぶ…飲んでますよね?と、
かろうじて言うあたしに、
うなずくキャプテン。

間があって…二人で笑った。

酔っぱらいの先輩は、気分よさげに
飲んでたから、ほっといて。

ちづるちゃん、よかったね…。
先輩は、いい人だよ。と、言ってくれた。
こんな、甘々だとは知らなかったけど。
と、照れ笑いする。

同じように照れ笑いをしながら。

あたしが彼女だという喜びを、
久々に実感した夜になった…。