ここで、お昼ごはんにしようか。
と、車を止めたのは、お蕎麦屋さんだった。
俺、ここの蕎麦、昔から好きなんだよ。
ちづる…蕎麦嫌いじゃなかったよね?
と、まだ心配そう。
ちょっと可哀想になってきた…。
ごめん、可愛くていじわるしちゃった。
あたし、お蕎麦好きだよ。と、
笑うと。
なんだよーと、赤くなり、
よかった。と、ほっとしたような顔をする。
んー可愛い。
なんだか、今日はいつもと逆な感じで
楽しい…。
美味しいお蕎麦を食べた後、先輩の家に
お邪魔した。
ご両親はお仕事でいなかったけど、
おばあちゃんには挨拶できた。
ニコニコしたおばあちゃんが、
お茶をいれてくれて。
先輩の部屋で、お正月中の話なんかを
してたら。
あっという間に暗くなってきた。
冬は暗くなるのが早いね…。
そろそろ電車の時間だから、帰らないと。
と、あたしが言うと。
ぎゅっと抱きしめて。
もう時間?と、静かに言う先輩に、
キュンとする…。
やっぱり今日は、なんだか逆だね…。
駅まで車で送ってくれて。
じゃあ、そろそろ行くね。と、車を
出ようとした時。
後ろからカバンをつかまれて、
開けたドアから、出られない。
え??先輩?
さすがにビックリして…。
行かないと遅れちゃう。と言っても、
いやだ。と、手を離さない。
それどころか、もっと強く引っ張られ
車に戻された。
俺…やっぱり送ってくわ。