駅の改札を抜けると、視界のすみっこの方に
先輩が立っていた。

思わず手を振ると、ひょぃっと一瞬
手をあげる。

ん?地元のせいかな?
ちょっといつもと顔が違って見える。

側まで行って、
お待たせしました。と見上げると。

やっぱり気恥ずかしそうに、
うん。と、言い、
こっちだよと歩き出す。

車に乗って。
…なんだか、あんまり嬉しそうじゃないね。
と、からんでみると。

アホか。と、やっと笑う。

狭い街ですからね?
さっきも、改札のとこに駅員いたろ。
あれ、俺の友達。
ニヤニヤしてたぞー。

この間、めいっぱい自慢したからなぁ。
あとが怖いわ俺…。と、苦笑する。

そうなんだ。あ、失敗した。
飛びついたら良かったな。と言うと。

え?いやぁ、それは間違いなく袋叩きだわ。
と、笑う。
あいつら、こないだもさー。
と、話がつきない。

男友達の話をしてると、いつもと雰囲気が
違うのが新鮮で。

つい、じっと横顔を見つめてたら。

信号で、
どうした?
なんか俺ばっかりしゃべってるけど。
と、真顔になる。

久しぶりに会って、とっても嬉しいけど、
なんだか今日は、不思議と気持ちに
余裕がある。なんでだろ。
先輩が、はしゃいで見えるからかな?

…可愛い。
少し、いじわるしたくなる。
…前に、先輩も同じこと言ってたなぁ。
こんな気持ちなんだ。ふふ。

信号が青になって、前を向いた先輩に。

なんでもないよ。と、そっけなく答えてみる。

そお?と、心なしかしゅんとする先輩。

だめだ…可愛すぎる。