帰りの車の中。

ふと思う。
この親しみ感。もしかして…。

これは可愛い妹ポジションなのか?
ウソでしょ?
いや、そう考えると納得いくような。

あたしが先輩のこと好きなのは、いくらなんでも、伝わってると思う。

わかってて、妹扱い?
これは、オシャレな拒絶だったりする?
頭の中ぐるぐると、妹?って文字が回る。

黙り込んでるあたしに、先輩が声をかけてくれる。

どうした?もう眠くなったかい?

そんな、子供扱い…。
また、ちょっと悲しくなる。

そんなことないです。

外を見ると、だんだん寮が近づいてきてる。
ああ、着いてしまう。
まだ、何も確かめられてないのに。


どんどん悲しくなるあたしに、先輩が
ふいに言った。

門限、間に合わなかったらどうする?

え!?つい、先輩の横顔を見つめた。

前を向いたままの先輩の顔は、
怖いほど真剣に見える。

門限に間に合わない時は…寮に電話して
外泊連絡するんですが…。

そうすると、もうあたし帰れないけど…。
と、思った瞬間。

先輩が。

じゃあ電話したらいいよ。
うちにくればいい。

驚きに声も出ないでいると。

先輩は、前を向いたまま返事を待っている。

あたしは、携帯を取り出し寮に連絡した。
…じゃあお願いします。と、電話を切ると。


大丈夫だった?と、また照れくさそうな声。

はい…。

混乱と緊張で、それしか言えないでいると

窓の外を寮の入り口が通り過ぎた。

まだ、10時半です。先輩…。

わかってたんだよね?