一体、これはどういう状況なんだろ…。

二人がけのテーブルの向かい側には
夢にまで見た先輩の笑顔。

静かな雰囲気の中で、どれにする?
と、小さな声で聞く先輩。

あたしが、どうして会いたいと言ったのか
全く聞きもしないまま。

まるで…。

か、彼女みたいな?
ウソウソウソ。そんなわけない!
こんな幸せ、今まであたしの人生には1ミリも
やってこなかった…。

だから。
どうしていいのか…。

もう…さっぱりわかりません!神さま!!


と、向かい側の先輩がプッと吹き出す。

え?と、メニューから顔を上げると、
初めて会った時の、あのクシャクシャの
まぶしい笑顔が。

ひっ。
顔がこわばる。

そんな真剣にメニュー選ばなくても。
眉間にシワできてるよ?

ずっと笑顔で、そんな憎らしい事を言う。

そ、そんなこと!
あたし、これにします。と、おすすめN o1を
指差すと。

あ、俺もそれと迷ったんだよなー。
美味しそうだよね。
よし、じゃあ頼もう。

メニューを頼む声も優しい。

また、ぽーっと聞いてると、

ちづるちゃん?飲み物後でいいよね?と
急に問いかける。

はい!と、つい、大きな声が出てしまい
また先輩は笑顔になった。

あたしの、ものすごい勘違いかもしれない。

かもしれないけど。

きっと、あたしに罪はない!!
きっと、誰でも勘違いする!!

せ、先輩、あたしのこと…??