この春、親元を離れ。
大学の女子寮暮らしを始めた。
高校は女子校。それなりに楽しかったけど、
彼氏…どころか、浮いた話も無し…。

でも!春からの大学生活。
キラキラのあおはるやってこい!
たのむ、きておくれ!

初日、緊張で顔がこわばりつつ、新入部員勧誘の波に飲み込まれた。
結果…やったこともないテニスサークルを
選んだのは。

ワイワイ話す部員たちの後ろに、クシャクシャな笑顔を浮かべる、あの人を見つけてしまったから。

気になって気になって。
つい、初心者でも大丈夫ですか?と言ってしまっていた。

こうして…。
沸き立つ輪に囲まれ、視線の端であの笑顔を
追いながら、見事に不純な動機の新入部員が
誕生したわけで。

学年と名前を知ったのは、1週間後の歓迎会。
四年生だった。

あと少ししか一緒にいられないんだ…。
どうしよう。なんとかしなきゃ。

普段の自分からは想像できないつぶやきに、
我ながら呆れた。